愉快だ。笑いが止まらない。
不愉快だ。笑いで顔が歪む。
気に入らないヤツの顔を思い切り殴りつけたときの感触だ。
胸をすくような打撃音と共に、地面をのたくるウジ虫。実に愉快だ!
拳に残る、肉と頬骨の感触。不愉快でならない!
だが、何よりも。何よりもだ。不快感よりも。痛快な感触よりも。
何よりも愉快でたまらないのは、ウジ虫の反撃だ。
ウジは鋭い針を持つ蜂となり、私の臓物に渾身の拳をねじ込むだろう。
それは何よりも屈辱的で、私の精神を逆撫でする。
それはべらぼうに無意味で、私の優越感を満たす。
怒り狂う蜂は、わめき散らす蝿である。
蝿ごときが、ただ私の身体を傷めつけようと懸命に猛撃を繰り返す。
その様を眺め、私は笑みで頬肉を引き攣らせるだろう。
無駄を有意義であると信じ、無駄を繰り返すその様を笑うだろう。
きっと楽しい夕餉になるだろう。
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